日本たばこ産業は「金の卵を産む鶏」なのでしょうか。

IRBANKのデータを活用し、分析してみましょう。
データはクリック拡大してご覧ください。



企業概要


国内及び海外たばこ事業、医薬事業並びに加工食品事業とありますが、98%はたばこ事業です。
その内、売り上げの7割が海外です。筆頭株主は財務大臣(37%)で安心感はありますが、近年はマイナス要素が続いています。2021年の減配、優待の廃止、ウクライナへのロシアの侵攻と、株価は暴落しています。

ここ数年の業績


2022-04-20売上


2022-04-20売上2

2011年に大きく収益を下げてから、低迷を続けています。それでも2兆円台というのは他の事業とは規模が違う気がします。国内の喫煙者の減少が続く中、高配当を継続できているのは海外での増収増益が大きいようです。その内2割はロシア事業での収益ということを考えれば、今後の不確定要素は大きいと思われます。ただ、ロシア事業から撤退するようなことになれば2022年の予想も大きく崩れるかもしれません。

ROE・ROA


2022-04-20ROE


一般的に、ROEは10%以上、ROAは5%以上あれば良いと言われています。
どちらも安定して問題ないようです。参入障壁が高く他の企業と比較はできませんが、事業形態が大きく変わることも考えにくいため、大きく崩れることはないでしょうが、やはりウクライナの情勢によっては2022年の予想はあてになりません。

EPS・時価総額


2022-04-20EPS2022-04-20時価総額















2021年の減配はありましたが、EPSは高水準を維持しています。マイナス要素が続き、時価総額も落ち込んでいますが、それでも4兆円はすごいですね。今後はわかりませんが、ウクライナの情勢が好転しないなか、よく持ちこたえています。

ロシアの侵攻前からかなり売りもでていたのでしょうが、「高配当目的だから株価は気にしない」と割り切ってらっしゃる方もいるようです。「買い時」という方もいれば、「今は買わない」という方も、ユーチューブの動画では評価は分かれます。

PER・PBRチャート


2022-04-20PER2022-04-20PBR















一般的に上場企業の場合、PERの値は「15倍」がひとつの水準とされています。
PBRは、割高なのか割安なのかをはかるものさし、いわゆる投資指標として使われます。
PBRが1倍であれば解散価値と株価が同じ水準ということになり、低いほうが割安です。

日本株のPERは欧米に比べると、全体的に低いと言われています。PBRの1倍という基準はわかりやすいのですが、PERの判断基準はたいへん複雑なようで、専門家の方は注意を促しています。
日本企業も欧米のように株主還元を重要視するようになれば、この辺もわかりやすくなるのかもしれません。JTは配当性向が高いため、この辺の指標は単純に見れるのかもしれません。

ここ数年の株価


2022-04-20株価


2016年の頃からすると、半値くらいになっています。「株価は気にしない」とは言えないかもですね。
高配当目的、長期投資を前提に考えれば、買い時かもしれませんが、まだ下がる可能性があります。メンタルに自信がなければ控えたほうがいいかもです。


優待・配当


2022-04-20配当



2022年2月に株主優待は廃止されました。優待+高配当ということでも人気がありました。
今後はひたすら高配当のみを期待することになります。
配当権利確定月は、12月,6月です。

参考資料


PER:株価収益率

PER=時価総額÷純利益   PER=株価÷一株当たり利益

時価総額というのは企業規模を表す指標で、「株価×発行済み株式数」で求めることができます。
一般的に上場企業の場合、PERの値は「15倍」がひとつの水準とされています。
PERが小さいほうが、株価は割安ということになります。しかし、PERが高いということは投資家がその企業の成長性に期待をしているということでもあり、株式市場におけるその企業の評価の高さを表している側面でもあります。PERに着目するときは、同業種のほかの企業の数値と比較することも必要です。PERがマイナスになるのは、純利益がマイナス、つまり損失が出ていることが原因です。割安ということではありません。

PBR:株価純資産倍率

PBR(株価純資産倍率)=時価総額÷純資産
PBR(株価純資産倍率)=株価÷一株当たり純資産(BPS)

PBRは、企業の純資産から見た株価やM&Aの算定価格が割高なのか割安なのかをはかるものさし、いわゆる投資指標として使われます。PBRが1倍であれば解散価値と株価が同じ水準ということになります。低いほうが割安です。


ROE:自己資本利益率

ROE(%) = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
ROE = 当期純利益 / 売上高 × 売上高 / 総資産 × 総資産 / 自己資本

自己資本からどれだけ利益が出たのか、自己資本に限定した経営効率の程度が分かります。

ROA:総資産利益率

総資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示した指標です。

ROA:総資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示した指標
ROE:株主から集めた自己資本をもとにどれだけ儲けたかを示した指標

ということになります。
ROAは、自己資本だけでなく金融機関から借り入れた負債(他人資本)も含めた調達金額(総資産)をどの程度効率的に運用できたかを示す指標なので、株主目線ではなく「会社全体としての」投資効率を示す指標であると言えます。

財務指標として活用されるROE・ROAは、一般的に値が高いほど企業の評価も高いことになります。
逆に考えれば、ROEやROAの評価が低いと企業が十分に収益を上げていないと考えられ、企業価値の低下が予想されるということです。

EPS:1株当たりの当期純利益
EPS=当期純利益 ÷ 発行済株式総数
EPSは値が大きければ大きいほど企業の収益は高いことを示します。EPSを見ることで、当期の状況を把握することができます。また、その推移を見ることで会社の収益が好調であったかがわかり、今後の企業の成長見込みを判断する一つの材料になります。

皆さんおっしゃるように、投資は自己責任です。取り上げた銘柄も推奨するものではありません。
興味を持たれた方は、あらためて最新のデータをご自分で調査願います。


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